フランツ・カフカのネガティブすぎる一生と迷言集

思想・処世術
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フランツ・カフカ

この人の作品ってクセになるのが多いような気がします。

表立ってはものすごく普通な人。

サラリーマンをやり、地道に中間管理職まではいあがりました。

まわりのことをとても気づかってくれます。

あなたにもきっと相当優しくしてくれるはずです。

しかも、超イケメン!

引用wikipedia

特に気をかけなければ、差しさわりのない「いいイケメン上司」くらいのはず。

なのですが、人間というのはわかりません。

彼には常人ではとても埋め合わせできそうもない、ものすんごく深い“闇”があります。

もし読んだのなら、すでにそれを堪能されたのでは、と思います。

フランツ・カフカのとっても“アブノーマル”な人生と珠玉の名(迷?)言集を知って、ますますこの人の虜となるのはいかがでしょう。

フランツ・カフカの生い立ち

フランツ・カフカは1883年、チェコ・プラハに生まれました。

お父さんはヘルマンといいましてユダヤ人。

まずしい身の上から一代で成り上がった人です。

カフカは長男。

当然、その期待を一身に受けて育っていくはずだったのですが・・

哲学とは?

フランツ・カフカはものすごく繊細です。

そして、精神的充足にこそ、生きる意味を見出します。

カフカは哲学の専攻を希望してやみません。

しかし、父は許しません。

父ヘルマンいわく、

「哲学とは乞食になるための学問」

カフカは折れます。

化学を専攻します。

フランツ・カフカ“ブラック企業は無理!”

理系はまったく性に合わなかったのでしょうか。

仕方なしに法学に専攻を換えますが、カフカの成績はかんばしくありません。

はっきり言って「興味がない」んですかね。

カフカ君にとったらそんなものはどうでもいいんです。

でも、「やる」以外に選択肢を残されておりません。

ギリギリ卒業で就活はボロボロ。

ブラック企業に勤めるしかなくなり、半年でやめてしまいました。

カフカ君は繊細すぎて、体もひ弱なんです。

ブラック企業の軍隊的秩序は“意味不明”です。

『変身』

もちろん、父ヘルマンは我慢なりません。

長男ですよ。

自分は若いころろくな教育を受けさせてもらってないのに、こやつにはプラハ大学にまで通わせているんです。

この恥さらしが!!

カフカはなんとか日々半日勤務の半官半民の保険会社にすべりこみます。

カフカにとったらこれが精いっぱいです。

「文学やりてえな」

と思いつつ、静かに静かに日々勤めます。

彼の代表作『変身』そのままですよね。

繊細な彼は本当は「毒虫になってでもこんな日々地獄のサラリーマン生活から抜け出したい」んです!

ただでさえサラリーマンきついのに、この人はこんな繊細で夢見がち。

これは普通の人の数倍“地獄”だと思います。

しかも、まじめなカフカは

「父や家族の期待にまったく応えられていない。俺無意味……」

なんて思っております。

毒虫になってみんなに“のけもの”あつかいされてしまう、世の中の理不尽も淡白も見通せすぎるくらい見通せております。

毒虫だろうが、イケメンだろうが、おんなじものなんじゃないの?

あの作品にはカフカの魂のイロニーが込められております。

毒虫も人間も変わらないよ。

いや、むしろ、……。

ネガティブの天才フランツ・カフカの迷言集

将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。将来にむかってつまずくこと、これはできます。いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。

ちょっとした散歩をしただけで、ほとんど3日間というもの、疲れのために何もできませんでした。

ぼくは人生に必要な能力を、なにひとつ備えておらず、ただ人間的な弱みしか持っていない

ぼくは彼女なしでは生きることはできない。
……しかしぼくは……
彼女とともに生きることもできないだろう。

ぼくは現代のネガティブな面を堀りあて、それを身につけてしまったのである。

ポジティブなものは、ほんのわずかでさえ身につけなかった。

ネガティブなものも、ポジティブと紙一重の、
底の浅いものは身につけなかった。

どんな宗教によっても救われることはなかった。
ぼくは終末である。それとも始まりであろうか。

バルザックの散歩用の杖には、『私はあらゆる困難を打ち砕く』と刻まれていたそうだ。僕の杖には、『あらゆる困難が僕を打ち砕く』と刻まれている。

ぼくはひとりで部屋にいなければならない。床の上に寝ていればベッドから落ちることがないように、ひとりでいれば何事もおこらない。

ぼくの人生は、自殺したいという願望を払いのけることだけに、費やされてしまった。

結核はひとつの武器です。ぼくはもう決して健康にはならないでしょう。ぼくが生きている間、どうしても必要な武器だからです。そして両者が生き続けることはできません。

カフカは晩年とうとう不治の病結核にかかってしまいました。

しかし、それはカフカにとって喜びなんです。

その真意をおわかりでしょうか。

無能、あらゆる点で、しかも完璧に。

すべてが素晴らしい。ただ僕にとってはそうではない。それは正当なことだ。

僕は自分の状態に果てしなく絶望している権利がある。

↓カフカのネガティブ迷言を素晴らしく堪能できるようにしてくれた名著。やたらポジティブ名言のゲーテとともに両方の個性を存分に浮き彫りにして楽しみましょう。


フランツ・カフカは優しい

さて、恐るべき自己評価の低さです。

“生きる”ということがさぞ“地獄”だったでしょう。

しかし、彼にはだからこその“やさしさ”がありました。

彼は「周りのことがなんでも自分より良く見える」だけでなく、「弱いものに対してことのほかに優しい」のです。

ほかの人や物の長所を見つけ出す天才

実際カフカと話しているとみんな勇気をもらうようです。

なぜなら、カフカはその人の良いところをどこかしらからひろいあげるからです。

しかし、自分の書いた小説を見せて四苦八苦された人が一人だけいたようです。

その人、つらいですね……。

少女と人形

また、ある時は公園で泣いている少女に出会いました。

カフカが

「なぜ泣いているんだい」

と尋ねると、少女はお気に入りの人形をなくしてしまったといいます。

カフカはそれから少女に会うたびに“お人形からの手紙”を読んで聞かせ、お人形は旅に出、しだいに成長し、結婚も果たしました。

そして、最後の手紙にこうしたためます。

「わたしたちは二度と会えないことをわかってほしいの」

少女は従容とその言うことを飲み込みました。

蠅をいつくしめる

森の中をある少女と散歩していると、少女はあたりに飛び交う蠅をたたこうとしました。

すると、カフカは

「かわいそうな蠅を!なぜそっとしてやらないのですか」

感受性が強すぎて……

カフカは感受性が強すぎます。

素晴らしいことなのですが、周りは大変そうです。

そして、本人自身も……。

カフカは朗読が大好きです。

ある集まりにて、自作『流刑地にて』を朗読したそうです。

すると、その迫力がすごすぎて3人失神者が出、人々は逃げるようにして席を立ち、最後はカフカ一人取り残されたようです。

カフカ、しょげました。

フランツ・カフカの死後

カフカは保険会社の仕事をそつなくこなし、そこそこ出世を遂げたのですが、結核にかかり、わずか40才でこの世から旅立ちます。

本人は自作が世に出ることを“恥”と思い、なんとかすべて焼却するように友人マックスブロートに頼みます。

しかし、編集者のマックスブロートは「こんなにすばらしいものを」と独断で出版に踏み切り、とうとう評判が評判を呼んで、カフカは「20世紀最大の文学者」の異名を勝ち得るほどとなりました。

実存主義小説の金字塔。

カフカの代表作はこちら。

『変身』『城』『ある流刑地にて』『審判』『失踪者』……。

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実のところ、玄人の間でカフカの醍醐味といわれるぐらい彼の書簡集は滋味に満ちあふれております。

「手紙魔(恋人と会うのはきらったのに、手紙だけは病的に大量に送り込みました)」カフカの真骨頂。

ぜひご一読されては。

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