
もうすぐ新たな大河ドラマが始まります。
それに合わせていろいろ思案を巡らせていると、
「そういえばそれぞれの歴史上人物の大河における一番のはまり役って誰だろう」
と気になってきました。
せっかくなので、有名どころから順に自分勝手に一番を決めていきたいと思います。
もしよろしければ、あなたのと比べてみてください。
大河ドラマはまり役はだれ?
徳川家康

天下泰平260年の礎を築いた人。
ともかく我慢強さであそこまで成り上がった、国というものに歴史でも文化でも政治でも大きく寄与した、という点ではやはり日本らしい、「Mr.日本史」と言ってよい人なんじゃないかと思います。
そんな徳川家康を演じた人。
まずは1965年『太閤記』では歌舞伎役者の尾上菊蔵さん。
意外なところでは1992年『信長』の郷ひろみさん、1996年『秀吉』では西村まさ彦さん。
最近では2016年『真田丸』で内野聖陽さんがその狸親爺ぶりを怪演為されてらっしゃいました
1983年『徳川家康』の滝田栄さんは私にとって大河ドラマ視聴デビュー作です。
私はOP曲のあの「あーあー」というのとともに非常に印象強く覚えております。
1981年『おんな太閤記』のフランキー堺さんは正直その見た目からもそっくりです。
が、一番はどうしてもこの人しかないと思われます。
1987年『独眼竜政宗』2000年『葵 徳川三代』の津川雅彦さんです。
特に強烈だったのが後者でしょう。
よく松村邦洋さんがまねてらっしゃいます。
ともかく、徳川家康は表向き「大人びた」「忍耐強い」ということになっておりますが、その本当のところはどうも背反するところがかなりあるように思われます。
三方ヶ原では武田軍に素通りされそうになったところを、我慢ならず攻撃を仕掛けて惨敗してしまったり。
後年、(我が子信康を死に追いやった)酒井忠次に「お前も子がかわいいか」などと嫌味を言ったり。
案外、自分の子供にはものすごく好き嫌いが激しいですし。
この人は幼いころから本当に過酷な運命にありましたので“我慢する以外にない”というのを体で会得しております。
また、徳川家康と言えば、せめて「家臣だけはやたらに忠義もの」みたいに言われておりますが、後世に作り上げられた伝説である要素がかなり色濃いでしょう。
今川に人質として送られるはずだった家康が織田家に分捕られる事件がありましたが、あれは織田がかっさらったというよりは家康の家臣の暴走によるものです。
家康を勝手に拉致して織田家に土産として持ってってしまったのが真相です。
ほか、股肱之臣本多正信や石川数正にも裏切られ大変な喪失を被ったこともありますし。
その点、津川さんの何かと癇癪もちでトリッキーな家康は迫真に感じます。
2020『麒麟が来る』では風間俊介さんが演じられます。
どうしても家康の前半生なのでかなり優しそうな雰囲気でしょう。
豊臣秀吉

家康に比べると“怪演派”が多いですね。
1965年『太閤記』78年『黄金の日々』の緒形拳さん。
『太閤記』の若々しくもさわやかな演技と78年のこわーい天下人秀吉の迫力とそのどちらも非常にインパクトが強いです。
1987年『独眼竜政宗』の勝新太郎さんはもはや語り草。
あの作の政宗にとってまさに“最大の壁”の戦慄ぶりを遺憾なく表現してらっしゃいました。
1996年『秀吉』で主演をなされた竹中直人さんも鮮烈でした。
とにかく泥臭くて根明でバイタリティがあって、だからこそ時折見せるペーソスに味がありました。
2014年『軍師官兵衛』では打って変わって秀吉の影の部分を好演為されてました。
“その前の秀吉”を知ってるだけにギャップに迫るものがありました。
で、「外せないだろう」というのが2002年『利家とまつ』の香川照之さんです。
例の“落差”に関して絶妙でした。
最近では2016年『真田丸』の小日向文世さんが大変評価が高いですね。
やる前は、どちらかというと“気の弱い役”を演じられることが多かったので、「ちょっとだいじょうぶかな」とも思ってましたが、見事なまでにその予想を覆してくださいました。
この中から「誰が一番」と決めるのは特に至難だと思います。
でも、私個人的には緒方さんか勝さんですね。
やっぱり迫力が・・
ここはこの両者でお願いいたします。
『麒麟が来る』では佐々木蔵之介さんが演じられます。
佐々木さんは背が高くてがっしりし、二枚目な風貌。
今回の秀吉は今までにない秀吉像を用意してくれているのかもしれませんね。
織田信長

孤高の天才。
革新者。
そして、泣く子も黙る冷酷非情さと、その裏返しに時折垣間見せる“温かさ”にやられてしまいます(実際の信長も結構気配りをする人だったようです)。
1988年『武田信玄』の石橋凌さんはよく覚えていますね。
まだ“青二才の信長”です。
天才の片鱗は確かにあるのですが、信玄といった圧倒的先輩巨頭の前に恐々ともしております。
その両面性の表現が私は好きでした。
2016年『真田丸』の吉田鋼太郎さんは“今乗りに乗ってるぞ”感が迫力となって表れておりました。
後年になってお茶の間に浸透してきた人だけに、それまで“鬱積”した何かが爆ぜるようですらあります。
信長役はまさに怪演でした。
でもやっぱりこの人でしょう。
1996年『秀吉』の渡哲也さん。
色白で面長で体もしゅっとなさっていて、声色、雰囲気合わせて「ああ、信長だ・・」と鳥肌が立ちました。
この人の信長は本当に厳しさの中に優しさがあってそして孤独もあってかっこよかった(溜息)。
秀吉役竹中さん、吉乃役(側室)斉藤慶子さんとの絶妙のやりとりが今でも記憶に鮮やかです。
『麒麟が来る』では染谷将太さん。
3歳のころから役者をやっているベテランさんです。
こちらも今までにないどこか“影”のある不思議な雰囲気。
なかなかそのシナリオが読めない展開に期待が高まります。
明智光秀

2020ついに主役の明智光秀。
今までは何かと「計算高い」「普通の人過ぎる」「やさ男」と演じられる場合があまりに多かったです。
が、最近の研究でだんだんそのベールがはがれてきまして、思いのほかにワイルド(寺領を横領したり、石材を非常に大量に略奪したり、虐殺にためらいがなかったり、若いうちから城取で活躍したり、と非常にドライでヤンチャな一面があります)、それでいて目下のものには非常に律儀で手厚い(昔受けた恩を何年も覚えておりきっちり返します。あるいは、部下への気遣いについては自己犠牲的ですらあります)。
今年の光秀は従来像をどこまできれいに具現化してくれるのか、あるいは、いい意味でうち砕いてくれるのか、魅力的な光秀を期待しております。
私にとってまず印象深いのは1989年『春日局』の五木ひろしさんです。
ストーリー上やむなく、登場してまもなく亡くなります。
そんな悲劇的な姿を五木さんは好演してらっしゃいましたね。
五木さんのあの優しそうな表情がまた合うんです。
1996年『秀吉』の村上弘明さんを思い浮かべる人も多いんじゃないでしょうか。
ものすごく理知的で品があって二枚目で。
秀吉との好対照の演出も見事に光っておりました。
で、今年の長谷川博己さんです。
私、この人は2016年土曜ドラマの『漱石の妻』の印象が強烈に残っておりまして、いやあ、本当に「ああ、漱石だ」感が半端なかったです。
意固地で明らかに腺病質で、でもすごく魅力的なんですね。
「ああ、あの役者さんがやってくださるのか」と、安心というか、期待というか。
ただ私、ずっと前から「光秀役はこの人が一番だろ」と秘めていた人がおります。
(引用instagram)
松田龍平さんです。
まず、容貌が瓜二つ。
そして雰囲気も。
いつかやってほしい・・
誰が一番か、むずかしいところですが、やはり2020期待を込めて長谷川博己さんでよろしくお願いいたします。
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坂本龍馬

最近、結構「人間臭かった(※)」ところがだんだん明るみになって来た幕末の代表的ヒーロー。
(※)紀州藩と船がぶつかり、その分の賠償金をふんだくったりした
かえって好感を増しているのは私だけでしょうか。
で、今のところ一番印象に残ってるのは2018年『西郷どん』の小栗旬さんでしょうか。
この竜馬はなんとも純粋でして、その分何とも言えない儚さがありました。
亡くなった回はダメです。
今ちょっと思い返しても、目頭が軽く熱くなってきます。
西郷隆盛

1990年『跳ぶがごとく』の西田敏行さんを推す人は多そうです。
鹿賀丈史さん演じる大久保利通との“友情”でよく知られております。
西田さんには「持ってる雰囲気自体にやられる」と思うのですが、いかがでしょう。
あと、2013年『八重の桜』の吉川晃司さん。
間がすばらしかった。
画面からものすごい緊張感がみなぎっておりました。
あれは吉川さん独特ですね。
かっこよかったです。
で、やっぱり昨年『西郷どん』の鈴木亮平さん・・
若いころのすがすがしいのもぴったりでしたし、後年になるごとのエキセントリックな部分も凄みも、で、やはりそこに“垣間見せるところ”がいいですね。
井伊直弼

幕末の敵役として非常に重要な役どころです。
みんなにとことん憎まれるのだけれど、だからこその存在感(実際あの時幕府が列強にああいう対応を取らなかったら、日本はどうなってたか知れません。当時列強ダイスキーの近代兵器でフルボッコを食らっていたら江戸やら大坂は火の海かも。日本の存立自体が怪しかったかもしれません。急進派は威勢のいい御託をならべたてておりましたが、それでまともな戦ができるとは到底思えません。火力が違いすぎます)
1998年『徳川慶喜』の杉良太郎さん。
似すぎやん・・
徳川慶喜

歴史は勝者によって語られるもの。
この人は不当に貶められているきらいが結構あるような気がします。
そもそも家柄自体が複雑。
尊王ばりばりの水戸藩出身。
お母さんが皇族。
でありながら、まさにスーパーコンピューターともいうべき異様に高度な“計算能力”。
将軍になりたくもなかったのにやるはめになり、持ち前の才気渙発で次々押し寄せる難局を翻してはいくのですが・・
そうです。
あの時、組織が勝手に暴走した挙句に、彼らは全く想定外の大惨敗(鳥羽伏見の戦い)。
慶喜じゃなくても、トンヅラしたくなると思います(慶喜「勝よ。確かに俺はろくでなしかもしれんが、そこまではやれんよ」というところだと思います)。
1998『徳川慶喜』ではそんな彼に主役のスポットライトが当たり、センセーションを生みました。
本木雅弘さんは稀有に素晴らしい役者さんですが、本物の徳川慶喜とはキャラのギャップがあるように思われます(本物のあのニヒル感を私は求めます)。
2013年『八重の桜』の小泉孝太郎さんも印象深いですが、こっちもまたちょっと違います。
2018年『西郷どん』の松田翔太さんが一番かもしれません。
煮ても焼いても食えない、というあの顔に表れた曲者感は欲しいです。
斎藤道三
蝮の道三が今えらいことになっております(2020/5)。
いやはや、もっくん(本木雅弘さん)がやってくださいました!
これは次の上司朝倉義景役であるユースケ・サンタマリアさん、大変なプレッシャーですよ。
(引用instagram)
北畠顕家(きたばたけあきいえ)
(引用instagram)
公家というとひ弱、口と謀略ばかり、お化粧キモイ、そんな印象ばかり。
が、時代の武家のスーパースターたちを次から次へとけちょんけちょんにしたとんでも公家軍人がおりました。
知る人ぞ知る南北朝の“花将軍”北畠顕家です。
まだ十代の後藤久美子さん、当時めちゃくちゃ話題になりましたが、今見てもただただため息が止まらない・・
この絵、反則でしょ。
「きもい」と言われるでしょうが言いますよ。
このお手手、かわいらしすぎるでしょ。
向こうではなんぼ「アレジの妻」か知れんけど、こんなもんジャン・アレジこそ「ごくみの夫」に見えずにおれないような(ボソり)。
美少女って言葉がどこまでもしっくりきます。
彼女が後醍醐帝の御前で篝火に舞った『陵王』のシーンはすでにその後の悲劇をどこか暗示して美しく、儚く、印象深いです。
猿(ましら)の石
『踊る大捜査線』以来個性的な演技ですっかり世間に定着した柳葉敏郎さん。
でも、もともと正統派でもうまくて迫真の演技をしてらっしゃったのです。
1991年『太平記』に若き日のその姿が。
足利義直
足利尊氏の“よくできた”弟。
『秀吉』の豊臣秀長とどっちを選ぼうか悩みました。
高嶋政伸さん。
『真田丸』の北条氏政でも“奇々”迫る素晴らしい味を出してらっしゃいました。
ああ、でも、真田広之さん演じる尊氏との熱い情と、やがてこじれにこじれていく哀れさが・・
そして、
尼子晴久
生存競争熾烈な戦国の世において、“暗君”の烙印をおされがち。
でも、一時は尼子の版図を中国一にまで押し広げました。
そうです。
1997年『毛利元就』の高嶋政宏さん。
ちょっとトリッキーな役作り(だんだん毛利や大内に押されて“壊れて”いくのですね)で、作中の個性が光っておりました。
前田利家
槍の又左。
若いころはヤンチャだったけど、実直で温厚。
良妻まつとともに加賀百万石の礎となりました。
やっぱり2002年『利家とまつ』の唐沢寿明さんだろ、と言うのがふつう穏当なのかもしれません。
が、私は1996年『秀吉』の渡辺徹さんです。
「なんでもござんなれ」
という感じで、おおらかに柔らかく受ける雰囲気が独特で好きでした。
煕子
明智光秀の妻です。
1996年『秀吉』の有森也実さんの薄幸な感じがたまらんでした。
でも、本物の煕子さんは意外と外交的なしっかり者さんだったんじゃないか、と私は思っております。
吉田兼見に会いに行ったりしてますし(当時の女性がよその大人の男性に会いに行くというのはそうそうないでしょう。ここは“一族”で嫁ぎ先明智家を盛り立ててもいるようですし)。
福島正則
『葵 徳川三代』
2000年初から強烈なインパクトでした。
蟹江敬三さん。
私には「正則は本当にこういう人だった」とまで刷り込まれました。
ものすごいだみ声で、性根は独特の歪みようで、嫌ったらしいぐらい武骨で、それでいて情には頗る厚い。
2010年『龍馬伝』でも岩崎弥太郎のお父さんを。
いつもその鬼気迫る演技に脱帽です。
楠木正成
1991年『太平記』武田鉄矢さんです。
かっこよかった・・
松永久秀
?
めちゃめちゃおいしい役だと思うのですが、ネットでもその情報はほとんどありません。
NHKだと無理でしょうが、一度は観たい大河ドラマ『久秀』。
『平蜘蛛の茶釜』の方がよろしいでしょうか。
今のところ吉田鋼太郎さんの右に出る人はいないでしょうか。
ちなみに最近は「案外まともな人だったのではないか」という説が強まってきております。
もともと三好を裏切ったというより、向こう(三好三人衆)の方からけしかけてきたようなものですし。
そもそも裏切りなんてあの頃ほとんどみんなやってますし。
地元だと名君の誉れもあったりしますしね。
足利義昭
1996年『秀吉』の玉置浩二さんが鮮烈すぎます。
化け物じみ、“(いい意味で)作りすぎ”というくらいの変声と異様にエキセントリックな性格。
『秀吉』というのは役者がすごかったですね。
北条時輔
渡部篤郎さんが2001年『北条時宗』で時宗(和泉元彌)の異母兄役を演じました。
こちらもまっちゃんさんが真似をしまくってらっしゃいます。
歴史の中では埋もれがちなキャラなんですが、作中の個性は非常に光っておりました。
渡部さん独特の世界観があふれでまくっております。
癖になります。
涼子(あきらこ)
鎌倉五代執権北条時頼の正妻です。
2001年『北条時宗』にて浅野温子さんが演じてらっしゃいます。
作中では時頼によって滅ぼされた毛利一族の娘という設定。
そのため、毎回のようにこの人の鬼気迫るおどろおどろしいシーンを堪能することになります。
日曜の夜八時に(それが楽しみなんですけどね)。
今振り返ると、この作品(特に前半。中心に渡辺謙さんの時頼がおります。彼の死に様もちゃんと“その色”を存分に出してます)はかなり癖の強い役作りをしてらっしゃる役者さんが多いですね・・
讃岐の局
2001年『北条時宗』の流れならこの人も外せません。
こちらは北条時頼の側室。
長男時輔を生み落としますが、血統により彼を跡取り候補から外されます。
で、例のごとく(作中では)おどろおどろしい展開になるのですが。
ダメです。
私こういうの好きなんですね。
演者は篠原涼子さんです。
そういえば、この作品のOPもなかなかです。
やっぱり私はこういうのが好きなようです。
北条高時
1333(一味散々)滅亡時の北条の支柱。
『太平記』の片岡鶴太郎さんでしょう。
『軍師官兵衛』の御着の殿様(小寺政織)もすごかったですが。
普段のむちゃくちゃぶりとあの悲惨な末路とのギャップがたまらんのですね。
今川義元
これは『武田信玄』の中村勘九郎(後の勘三郎)さんでしょう。
鉄漿・白粉全開。
幼心には相当なインパクトでした。
また“しゃべり”も歯を抜いたような非常に凝ったもの。
そのわりに性格はやたらと旺盛で、桶狭間で散った時はものすごい喪失感でした。
義元ファンになりました・・
三条の方・八重

信玄の男の担当が義元公なら、女性陣はこちらです。
彼女らの掛け合いは時にコントですらありました。
信玄の正妻、公家出身の三条のお方様は紺野美沙子さん。
説明不要のあのお美しさなのですが(知らない若い人も一度見れば「本当に上品できれいな女優さんだ」と思うのではないでしょうか)。
で、彼女の乳母の八重役を小川真由美さん。
お察しの通りの役どころで、紺野さんは浮気ばかりする夫信玄にいつも焼きもちを焼いております。
皮肉にも美しい分余計に美しいし、冷たくも見えるし、気の毒にも見えるし、コミカルにも見えます。
で、彼女にあくまで寄り添う八重殿がいよいよどんどんおかしくなっていくのですね。
終盤は完全にホラーです。
武田義信
武田信玄の嫡男。
奥さんが今川の娘のため、信玄による一方的な今川との和約破棄に断固反対します。
1988『武田信玄』では義信の意を受け、傅役の飯富兵部虎昌(児玉清)が決起しますが失敗(飯富の最期も印象的です。捕縛された後、中井貴一信玄に絞りだすようにかけられた「飯富兵部、悲しいぞ」が忘れられません)。
そして義信は幽閉され、最後は自殺します。
今は中堅の個性派として大活躍中の堤真一さん。
当時はあの逆に癖をそいでそいでそぎ落としたような“ぼっちゃんぼっちゃん”した役どころを見事すっきりと演じ切られました。
義姫
最上義光の妹。
あの『独眼竜政宗』の正妻です。
いやあ、名前の通りよっぽど愛らしい愛姫(めごひめ)様(桜田淳子)もよっぽどなんですがね。
でも、凄みではこっちでしょう。
いやもう、This is 岩下志麻ですよ。
伊達に嫁いだのにとことん「最上のために」。
で、我が子政宗(渡辺謙)をそこまでするかというぐらい嫌うのですね。
いや、でもこのころの役者さんというのは今の役者さんにはちょっとなかなか出てこない迫力を持ってらっしゃる方は多かったです。
あれはすごいですよ。
鬼庭左月(おににわさげつ)
伊達家の猛将です。
『独眼竜政宗』時代には老将として活躍します。
いかりや長介さんですね。
うまいんですよ。
芹沢鴨(せりざわかも)
三谷幸喜さん監督の2004年『新選組!』に私はとても印象的なキャラクターが二人おります。
そのうちの一人がこちら名優佐藤浩市さん演じる壬生浪士組(新選組の前身)局長芹沢鴨です。
酒癖、女癖悪い、異様に短気ですぐトラブルを起こす、プライドは高いけど無責任、私が言うのもなんですが性格はとことんひん曲がっており、社会の鼻つまみ者、まさに“みぶろ(壬生狼)”です。
次第に自分で自分の居場所をなくしていき、その代わりに近藤勇らの台頭を許すことになり、そこから生じるあぶなっかしさ、哀愁、そしてアウトローゆえの独特な説得力に妙に惹かれてしまいます。
斎藤一
2004『新選組!』より。
「オダギリジョーここにあり」を見事お茶の間に印象付けた当たり役です。
以前から『仮面ライダーブラック』の主演を務めるなど、俳優としてのスポットライトを浴びる人ではあったのですが。
この作での斎藤一は剣の腕がやたら立つだけでなく、非常に寡黙で腺病的で、独特の深い孤愁が漂っております。
そういえば、映画『壬生義士伝』では佐藤浩市さんが斎藤一を演じてらっしゃいました。
あちらの斎藤一はなんとも不逞でして、佐藤さんはやっぱり何とも迫力がありました。
志道広良(しじひろよし)
毛利元就の家老の一人です。
「君は舟 臣は水」の名言が有名です。
大河ドラマでは歴代名演の中村梅雀さんが1997『毛利元就』にて。
ものすごくおっとりしたキャラで、しゃべりかたもゆっくり明朗に。
戦国が舞台の大河なので、血みどろややるせないシーンも多いのですが、この人が出てくるとちょっとほっとします。
加芽
1997年『毛利元就』の村上水軍の娘として登場です。
当時22歳の葉月里緒奈さんが演じてらっしゃいました。
その容姿も演技もものすごく瑞々しくて(まさに“青い果実”って感じでした)、存在感は際立っておりました。