大人になって読み返すと「すごい!」とうなる宮沢賢治名作選

歴史
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東大名誉教授のロバート・キャンベルさんがむかしある尊敬する人に「日本で一番美しい文章の作家はだれ?」と尋ねると、その人は谷崎潤一郎でも、川端康成でも、三島由紀夫でもなく、宮沢賢治と答えたそうです。

 

また、宮沢賢治にはかなりエッジの利いたユーモア小説もたくさん書いております。

プロのお笑い芸人さん、放送作家さんでも「真っ青」になるのではないでしょうか。

 

確かに私たちは学校教育で一度はお世話になったはず。

ですが、大人になって読み返してみると、ぜんっぜん味わいが違うように思います。

そんないろんな魅力あふれた彼の名作を簡単に紹介。

 

宮沢賢治は「大人が読む童話」だと私は思います。

 

宮沢賢治の“美しい”名作4選

風の又三郎

ある朝、村の学校に子どもたちが

「ほう、おら一等だぞ、一等だぞ」

などと登校してみると、教室の一番前の机に見慣れない赤い髪をした少年が座っております。

子どもたちはおどろいて、教室に勝手に入ると、先生にうんとおこられるぞ、とせまります。

しかし、赤い髪の少年はすっかりすましたまま。

いつしれず外には強い風が吹いてガラス戸をガタガタゆらし、裏山の木々が一斉に青白く揺れ、

「ああわかったあいつは又三郎だぞ」

と言いだします。

そんな時、子どもたちは「足の指をふんだ」「ふまない」でけんかをはじめ、ふと気づくとあの少年がおりません。

おかしなもんだ、とあっけにとられえている時に先生が教室に入ってきて、そこにはあの少年がその後をすましこんですぱすぱと歩いてきました。

先生の紹介では彼の名前は「高田三郎」。

北海道からの転校生ということです。

最初はとても警戒していた子どもたちでしたが、だんだんと三郎と打ち解け、いっしょに野山に遊びに出るようになります。

いっしょ勝手に牧場の馬乗りをしたり、専売局が厳しく管理しているタバコの葉を三郎がむしり取ってしまったり……。

そのつどにどこからとなく不思議なことが起こり、あるいは少年たちと三郎がかばいあいます。

やがて……。

 

おそらく誰もがかつて持っていたものへのノスタルジーを思い起こさせる名短編童話です。

 

やまなし

教科書などでもおなじみとなっております。

川原の小さなカニ親子が“生きる厳しさと幸せ”にむきあってゆく物語。

あらすじは特に書く必要はないと思います。

賢治文学の素晴らしさがギュッと凝縮された大秀作です。

 

よだかの星

よだかはみにくく、だれにもあなどられ、きらわれております。

この世の理不尽にどうしようもなく、ついにはそれでもなおカブトムシを食べて命をつないでいる自分自身にいやけがさしてしまいます。

とうとう、よだかは食べ物を食べなくなり、「死んでもいい」と夜空に旅に出ます。

やがてそのいきつくはてとは……。

 

なんだかんだ言って宮沢賢治は人生の落伍をかなり多く経験し、大変“孤独”な人でもありました。

彼なりに“どこまでも純粋に”生きようとしたあげくですが、その“力”自体は後世の人間を引き付けて余りあります。

賢治の文学のジャンルのひとつに“落伍文学”と呼ぶものがあるとしたら、これはその代表作の一つでしょう。

 

銀河鉄道の夜

少年ジョバンニはケンタウロス祭りの夜、どこからとなく汽車の音が聞こえ、気付くと夜の軽便鉄道の座席に座っておりました。

そして、相席に座るのは親友のカムパネルラです。

汽車は「白鳥の停車場」「プリシオン海岸」「鷲(わし)の停車場」を次々と通過。

その間に、地層掘りの大学士、鳥を捕る人、沈没船事故で亡くなった人たちなどとかたりあい、荒野を駆(か)けるインディアンや夜空の無数のわたり鳥などを目にします。

やがて、ジョバンニがふと気付くと……。

 

宮沢賢治の“エッジが入った方”の文学紹介

私、30歳ぐらいの頃、たまたま本屋で宮沢賢治の短編集を手にしまして、とんでもない衝撃を受けました。

え、こんな文章書いてるの?

一応、関西出身の私ですので、その辺はそれなりにうるさいです。

が、・・・すごくない?これ?・・・となってしまったのです。

 

蜘蛛とナメクジと狸

この人はこっち方面でも天才ですね。

明らかに“やばい”のですよ。

まず一発目の『蜘蛛となめくじと狸(たぬき)』において、彼の人間性を疑う(お笑い用語です。そういう風に読んでください)謎のフレーズが次から次へと出てくるのです。

 蜘蛛と、銀色のなめくじとそれから顔を洗ったことのない狸とはみんな立派な選手でした。
けれども一体何の選手だったのか私はよく知りません。
山猫が申しましたが三人はそれはそれは実に本気の競争をしていたのだそうです。
一体何の競争をしていたのか、私は三人がならんでかける所も見ませんし学校の試験で一番二番三番ときめられたことも聞きません。
一体何の競争をしていたのでしょう、蜘蛛は手も足も赤くて長く、胸には「ナンペ」と書いた蜘蛛文字のマークをつけていましたしなめくじはいつも銀いろのゴムの靴
をはいていました。又狸は少しこわれてはいましたが運動シャッポをかぶっていました。
けれどもとにかく三人とも死にました。
蜘蛛は蜘蛛暦三千八百年の五月に没くなり銀色のなめくじがその次の年、狸が又その次の年死にました。三人の伝記をすこしよく調べて見ましょう。

「はあ?」と思ったらそれはすでに賢治の思うつぼです。

この作品をさらに読み進めるごとに、どんどんさらなるその世界の深みにはまっていきます。

それでいて彼は“言いたいこと”はきっちりはっきりと提示しきるのです。

その辺の“妙”がたまらないですね。

 

ちなみに「ナンペ」については最後までほったらかしです。

謎解きが一切ないのですね。

この“やばさ”を満喫するなら読むしかないでしょう。

 

ツェねずみ

宮沢賢治に『ねずみ三部作』なるものが存在します。

その中で私が洗礼を受けたのが『ツェねずみ』。

ツェというのはあるネズミの名前です。

ほかの話ではクンねずみというのもでてきます。

 

「はあ?」

そう思ったらいけません。

もうあなたは賢治の思うつぼですよ。

まず、「どんな名前だ」ですが、賢治はいつも「そう思えてならない」ことはそのまま記す習性です。

賢治にはそう思えてならないのです。

ツェは“床下街道”を人知れず走りぬけたり、ああ、この先は言えません。

なかなか衝撃的な最後です。

賢治おそるべしです。

 

カイロ団長

『〇ョジョの奇妙な冒険に』〇ョジョ語があるように賢治には明らかに賢治語があります。

では、これは何を意味しているでしょう。

 

ガーアアアアアアアアア

 

読んでのお楽しみにしてください。

 

メタアアアじゃありません。

 

そういえば、

 

シュッポオン

 

というのもありました。

 

グッパオンじゃありませんよ。

 

『〇メトーーク!』で「賢治大好き芸人」というのをやってみると、ものすごくヒットするかもしれません。

いや、知れば知るほど、この人ってすごいんです。

 

まとめ

ここに記したのはあくまで宮沢賢治の作品のごく一部にすぎません。

ほかに、

・美しい系なら『なめとこ山の熊』『オツベルと象』など

・エッジ系なら『注文の多い料理店』『飢餓陣営(きがじんえい)』『フランドン農学校の豚』など

 

私はすっかり賢治が座右の書になってしまいました。

 

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