老子3つの“脱力”名言集

思想・処世術
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「老子」

とてもシンプルな文章ですが、内容はものすごく含蓄が深いです。

また、文学的味わいも非常に濃厚。

久方ぶりに目を通してみて、ちょっと気になった言葉をここにいくつか羅列してみます。

老子3つの“脱力”名言集

万物の奥秘

道は言葉で表現できれば、恒久の道ではない。名は名づけることができれば、恒久の道ではない。万物の始めには名がなかった。名ができて始めて生まれ育ったのである。だから、欲望がなければつねに奥秘を見ることができるが、つねに欲望があれば、その外観を見るに過ぎない。とはいっても両者は同じところから出ていて、名は異なっても元は同じなのである。それが暗黒の中の暗黒。もろもろの奥秘のいずるところなのである。

やっぱりこの人は哲学者だな、と思います。

私らは何でも“主観”で対象を見極めようとします。

でも、“主観”って結局そんなに大したものなのでしょうか。

それを信じて思う方向に行っているのならいいですが、なお頑張っても頑張ってもうまくいかない時は、思い切ってもっと自然で根源的なものの声を聴き分けるのもありかもしれません。

たとえば、「心」や「体」は何を求めているのか。

ある意味、理性や知性よりも、真実にはずっと近い存在、“宇宙(森羅万象)そのもの”ですからね。

 

 

 

 

民衆の心を空っぽにして

聖人が政治を行う時には、民衆の心を空っぽにしてその腹を満たし、その意思を弱めて骨格を強くする。常に民衆を無智無欲にするのである。

なんだか軽くヤバイお言葉です。

そこにも、ある意味敬意を表し、載せてみました。

まあでもわからなくないというか、おそらく老師はファシズム的な思考というよりは、

「人間なんて余計な欲を知るからどんどん面倒でややこしいことになっていくのだ。そんなのなければ原始時代の人間やさらにそのルーツの動物や自然のように生死ができただろう」

ということを言っているのではないかと思います。

実際途上国に行くと思うのですが、確かにあちらは物質的にはきついです。

ただ、それが当たり前。

不思議とあっけらかんとした雰囲気があります。

基本的に人間というのはどこまでも相対的な価値観の生き物ですから、自分が今100億円を手に入れても、周囲の人間みなが300億円手に入れたら「なんて自分は不幸なんだ」となってしまうのが大概です。

逆に「今持っている総額が100円」でも「周りみんなが100円」なら、なぜか不幸感が霧散してしまう。

この先、AIなどがうまくなって、人間のこういった感情をいい塩梅に調整してくれるようになれば、世の中は誠に平和にはなりそうです。

 

手柄を立てれば

手柄を立てれば自ら退くのが、天に適ったやり方である。

“足るを知る”という理想的生き方です。

でも、人間社会ではそれを貫くのはむずかしいです。

特に最近のグローバル社会では、「周りより少しでも豊かに」「少しでも強く」という風潮が助長されております。

つまり、立ち止まるということは相対的退化をも意味します。

とはいえ、そういう社会はしんどいです。

また、非常に危険であります。

そして、虚しい……

AIやネットワークツールなどの発展が新たな可能性を切り開いてくれればよいですね。

また、この名言に関して歴史的見地からも1つ語らせてください。

どうも世の中を見ていると、確かに成り上がるのは大変むずかしいです。

が、それを維持するのもまた……。

よく「守るのは攻めるのより難しい」なんて言われますし。

特に、成り上がるのになんらかの“無茶”があった人はその難易度が増すようです。

その“無茶”とは例えばこういった。

●実力よりは強運によって成し遂げられた要素が強い

●実力よりは特定の人や組織の“引き”によって成し遂げられた要素が強い

●あまりよろしくないやり方で成し遂げられた要素が強い

など。

出典wikipedia
柳沢吉保

ただ、私がここで注目しているのは柳沢吉保

徳川綱吉の側用人として、微禄の出から一代で大出世し、歴史ドラマでは大概悪役として登場させられるあの人です。

本当に、吉保がそれほどの悪だったのかは、疑わしいですが。

ともかく、吉保の「すごいな」と思うところは、あれだけよく引き立ててくれた主君徳川綱吉が亡くなるとすぐに隠居し、甲斐の領地にひきこもります。

どういった経緯でこうまでなっちゃったのかは、いまだくわしくわかっておりませんが。

ともかく、この素早さ。

普通、こういうキャラは、多くの人にやっかまれていたり、恨まれ、こういうタイミングで「待っていました」とばかりにフルボッコにされがち。

でも、あんまりすんなりきれいさっぱり引き下がってしまったからか、変にターゲットにされることもなかったのですね。

そのまんま太平無事に余生を送りきり、彼の嫡男吉里は大和郡山15万石の祖となり、一族はその後もずっと長らくの繁栄を続けております。

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