
農村における格差の拡大。
天保の大飢饉。
安政の大地震・大津波。
黒船来航。
そして、世直し一揆。
しかし、浮き世とは何とも気まぐれなものです。
さらに日本列島をローラーのように押し寄せたのは……。
そうです。
戊辰戦争。
あなたならどう生きますか。
戊辰戦争における百姓の仕事
もうおおよそ予想がついているかもしれません。
が、農民もこの戦争と無縁でいられることはかなりむずかしそうです。
まず、戦争への従軍。
さすがに前線での戦闘パフォーマンスは一部に限られます。
ただ、人夫としては各軍農民から相当数用意されているという現実。
参考データとして、第1・2次長州征伐において広島藩では総員の約半数以上が農民でした。
また味方軍のために地元の人々が篝火を焚いてあげたり、ご飯などの世話をしてあげたり、……(ま、しないと何されるかわからんのですけどね)。
両陣営による民百姓のあつかい

幕府側も新政府側もなんとかあなたたちを味方に引き入れようとして、いろんな策を講じます。
むやみな略奪や放火などを禁じ、年貢の半免などを号したりもします。
ま、年貢半免に関しては、どちらの陣営も履行した歴史的形跡がまったく見られないのですが。
兵たちの無法に関してもいいかげんなものです。
いくら上が言ってもね。
現場の人間というのはいろんなのが出てきますよ。
民百姓は先祖伝来の田畑も家も置いて、逃げなくてはなりません。
下手に軍に捕まったら、行く手の先導や荷物の搬送などをやらされます。
極限状態における人間

日中戦争の時、私の祖父が従軍しておりましたが、その説を聞けば、現地人というのはやっぱりこういうものだったようです。
ていうか、知ってます?
この時の日本軍は補給がほとんど初めから滞っておりましたから、“なんでも”現地頼み。
兵隊さんに立派な白米なんてただの幻想です。
本土の人たちはそれでも「欲しがりません勝つまでは」「いいなあ、兵隊さんは」と本気で信じ込んでいたようですが。
また、当時現地の従軍者は若いはちきれんばかりのフツーの男たちがものすごく大量に。
どうなるでしょう?
私は中国に何度か行って現地の人たちに大変お世話になっていることもあり、祖父に聞かされた話の数々は恥辱です。
私に言う資格はないかもしれませんが、本当に嫌です。
でも、出征させられている人間からしたらそうなるでしょうね。
でないと、自分の居場所を確保するのはかなり難しいでしょう。
て言うか、生きてすらいけません。
周りの戦友や本国の家族まで危険にさらします。
逃げても生き場所はありません(中にはこうして中国で生き残った人もごく少数ですがいます)
なら、あなたに尋ねます。
従軍していたらどうしますか?
戊辰戦争中にとった民百姓らの行動

戊辰戦争において、民百姓たちはともかくいろんなことをやっております。
味方の軍が敵をやっつけても、
「敵がまた盛り返してきました」
と嘘の報告をします。
そうすることによって、また彼らが村に帰って狼藉を行うのを防ごうとしたのです。
「宿札」をかかげ、「お宅の藩のものが泊ってますよ」と装い、やはり彼らの狼藉を防ごうとしました。
また、「放火はやめてくれ」と村から軍に嘆願書を送ったこともありました。
軍兵に組み込まれ、前線で戦った者たちもおります。
さらに、どさくさ紛れにみずから略奪・検地帳の強奪・放火を働く者など。
まさに事実は小説より奇なり。
結局私らが知ってる新聞やTVからの情報というのはかなり断片的です。
まとめ
①戊辰戦争の遂行は百姓なしに成り立たなかった
②戊辰戦争中、両陣営とも民百姓の人気取りを行おうとしたが、現場はそんな甘いものではなかった
③戊辰戦争中、民百姓らにはそれぞれに克明な人間模様があった
なお、幕末時の農民の実生活について詳しくはこちらの記事で
幕末に頻発した世直し一揆について詳しくはこちらの記事で
参考文献
こちらの書籍なら、この件についてより詳しく紹介しております。