
日本の江戸時代初期、ある将軍の手によりに「禁煙令」が発されました。
知ると「へえ」となるのですが、当時は喫煙に対する概念が今とだいぶ違うのですね。
歴史上のあの人もこの人もあんなことを願ってタバコを吸っておりました。
そして、「禁煙令」にあってもなお……。
人間の歴史と切っても切り離せない「禁煙と喫煙の歴史」を紹介します。
喫煙の起源

タバコの起源はボリビアの辺りです。
南北アメリカ大陸では早い段階から人々に喫煙の習慣がありました。
ちなみに、ヨーロッパ側で初めてこれを吸ったのはコロンブス一行だと伝えられております。
コロンブス自身はこれに大して興味を示さなかったのですが、部下の一人がヨーロッパに持ち帰り、広まってゆくこととなりました。
日本へのタバコ伝来

日本に初めて伝えられたのは戦国時代です。
ただ、意外に思われるかもしれません。
当時は“薬”として喫煙されておりました。
伊達政宗、淀君などはこれを嗜好します。
特に淀君はヘビースモーカーだったといわれます。
一方、そのころ庶民は……。
江戸幕府の禁煙令

この辺が何とも商品化の上手な日本人。
当時、葉巻はあんまり高級。
そこで「刻んで紙に包んで売り出してしまえ」と考えます。
すると、大当たり。
瞬く間に喫煙習慣が広がり……。
ところが、今も同じですけれど、喫煙者と非喫煙者というのは、紫煙をめぐって何かと折り合いがうまくいきません。
江戸開府の徳川家康はよく知られた健康オタク。
南蛮人に「これ妙薬ですよ」と勧められたのですが、どうも合わなかったのでしょう。
禁煙令をたびたび発令します。
息子の秀忠はさらに熱心で、相手が武家・町人関係なく「キセル狩り」まで強行します。
ところが……。
商魂たくまし

江戸の白木屋は土手を歩いていると、ホームレスが薦(こも。当時の寝具。ワラを編み合わせたもの)に巻かれながらキセルで隠れタバコをぷかぷかやっております。
こんな様子を見て、「こりゃ人々の煙草への欲求は相当だな」と踏んで、キセルや煙草盆を買いあさります。
やがて秀忠が亡くなると、家光の代になって禁煙令はなおざりにされ、白木屋は大変な利益を上げることができました。
まとめ
私もむかしは愛煙家でした。
やめるのは実に大変です。
そして、「本当にやめてよかった」とまで思え始めたのは4~5年経ってからでしょうか。
それまではなんだかんだ言って「夢の中でタバコをおいしそうに吸っていたり」「集中力や想像力が落ちているのではないかと感じたり」。
また、タバコは人類史において確かに文化的側面を担っているのは事実ですし。
そもそも、何でも一刀両断で済ますのはいささかの強引さを覚えます。
私ら人間は、自分の脳にない経験に理解を示すのは難しい生き物であることは疑いようがないですし。
喫煙をなさる方には非喫煙者の気持ちを汲んでくださると幸いです。
また、はっきり言って余計なお世話でしょうが、いくらうまいタバコでも、やっぱり非喫煙の方がうまいのかも、という気がします。
禁煙はやっぱ得でしょう。
- 日本にタバコが伝来したのは戦国時代。伊達政宗と淀君は愛煙者。
- 徳川家康・秀忠は禁煙令をたびたび発した
- 江戸の白木屋は人々の喫煙欲求抑えがたいのを見越し、禁煙令中から当て込んで大もうけした