なぜか人に好かれる奔放女~天才ナポレオンを翻弄したジョゼフィーヌ~

歴史
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1代で世界を席巻し、その在り方すらも変えてしまった奇跡の風雲児ナポレオン・ボナパルト

そして、その最初の妻として強烈なインパクトを残すのがジョゼフィーヌ

彼らについて漫画のネーム風にまとめてみました。

①ジョゼフィーヌは南国マルティニーク島の没落貴族生まれ

(場所:イメージ)

ナレーション「性格はなかなか奔放でやりたい放題。なのになぜか好かれてしまう女性というのは確かにいます。革命後彗星のように現れ、またたくまに世界を翻弄(ほんろう)した大天才ナポレオン」(フランス国旗の上に二角帽)

(場所:海浜)

ナレーション「ただそんな彼を世界のだれよりも翻弄しつくした一人の女性がいます」(少女ジョゼフィーヌ、ネグリジェ姿で、海の水を手ですくい上げている)

ナレーション「ジョゼフィーヌ・ド・ボアルネ」(少女ジョゼフィーヌ、太陽にたくさんのバラが舞い散る空を見つめている)

タイトル「なぜか人に好かれる奔放女~天才ナポレオンを翻弄したジョゼフィーヌ~」

(場所:イメージ)

ナレーション「ジョゼフィーヌの生まれはカリブに浮かぶフランス領マルティニーク島です。没落貴族の生まれですが、燦燦の太陽とどこまでも青い海に囲まれ、なかなかのびのび育ったようです」(ジョゼフィーヌの肖像、と、ヤシの実と砂浜の南国風景、と、マルティニーク島を示す地図)

②ジョゼフィーヌがナポレオンと結婚したのは将来の金とブランド目当て全開

(場所:社交界場)

ナレーション「それはジョゼフィーヌが30を少し過ぎたころのことでした。ジョゼフィーヌはいわゆる高級娼婦で、よく社交界に入り浸っていたのですが」(人々と会話するジョゼフィーヌ)

ナポレオン「ちょっと失礼」(ジョゼフィーヌの横に割って入る。何喰わぬように立っているように見せて、ジョゼフィーヌの下ろした手をつかみ、そのままに指輪をはめる)

引用wikipedia

(ジョゼフィーヌ、その手を上げ、指輪を見て驚く)

(ナポレオン、ジョゼフィーヌと目が合うと、西洋貴族式の辞儀をする。ふたたび目が合うと互いに微笑)

(場所:屋内・夜)

ジョゼフィーヌ「あの人ほんとしつこいのよね」

引用wikipedia
↑ジョゼフィーヌ

(物置台に置かれた指輪)

ポール・バラス「いいじゃないか。結婚すれば」

引用wikipedia
↑ポール・バラス

ジョゼフィーヌ「何言ってるの?」

ポール・バラス「ナポレオン・ボナパルト。やつは今若手将校の中で一番の有望株だ。悪いことは言わない。それにお前にはあの予言があるだろ」

ナレーション「この男、当時のジョゼフィーヌの愛人です。ポール・バラスと言ってフランス政府要人であり、またナポレオンの上官でもありました。バラスはジョゼフィーヌと別れたくて、ナポレオンを当てつけようとします。そして、バラスの言う予言とは…?」

(場所:屋内)

ナレーション「ジョゼフィーヌは幼いころ占い師にこう言われました。『お前は女王以上の存在になる』。」(水晶玉に映る少女ジョゼフィーヌの姿)

(場所:屋内・夜)

バラス「あいつなら、いい『王様以上』になってくれると思うよ」

③ジョゼフィーヌもナポレオンも結婚式では年のサバを読んだ

(場所:教会前)

ナレーション「こうして二人は結婚することになります。が」(新郎ナポレオン、新婦ジョゼフィーヌの結婚式風景)

(場所:屋内)

ジョゼフィーヌ「え、あれを話せっての?うん、まあ、仕方ないわ。ねえボナパルト」

ナポレオン「うん?」

ジョゼフィーヌ「わたくしたちあの時、同い年だったのよね」

ナポレオン「ああ間違いない。そういうこともあるね」

(場所:教会前)

ジョゼフィーヌ「わたくしは4つサバを読んだ」

ナポレオン「そして、私も4つ」

ナレーション「合計8歳ということになりますね」

ナポレオン「ああ。どっちがどっちなんて野暮なことは聞くなよ」

④ジョゼフィーヌは戦地に行くよりはフランスでぜいたく暮らしがしたくて、ナポレオンの要請を断り続けた

(場所:屋内)

ナレーション「次はイタリア戦役についていいですか」

ジョゼフィーヌ「まだ聞くの?」

(場所:イメージ)

ナポレオン「あの時は兵たちが食料も武器も事欠きだいぶじり貧だったとか。よくナポレオンさんが馬にまたがり、天に指を突きあげている肖像で知られてますが、現実あんなもんじゃなかったんですよね」(ナポレオンが天に指を突き上げている肖像画)

 

ナポレオン「……」(ジョゼフィーヌ、ほくそ笑む)

(場所:屋内)

ジョゼフィーヌ「ええ、そうですわよ。この人、そんな中もう毎日のように大量の手紙を送りつけてきて、『愛してる』『君がいないと死にそうだ』挙句の果てには『お願いだからこっちに来てくれ。もうたまらない』と、こうよ。妻を苦戦の戦地に呼び出そうなんていったいどういう男の料簡かしら』

⑤ジョゼフィーヌはナポレオンを金づるとしてやりたい放題

ナポレオン「言うね。君もあの時は祖国でずいぶんやりたい放題やってたみたいじゃないか。毎日毎日、贅沢三昧して」

⑥ジョゼフィーヌがしぶしぶ戦地のナポレオンに会いに行くと、ナポレオン軍は勝った

ナレーション「あの、よろしいですか。ジョゼフィーヌさん。ナポレオンさんからの愛の手紙を周りにばらしたって本当ですか」

ジョゼフィーヌ「ええ、ほんとよ。だっていっつもおかしな手紙ばかり送りつけてくるんですもの」(豪華な部屋内で、ジョゼフィーヌ、ソファに座りながら手紙を周りの客らに見せている)

ナポレオン「……」

(場所:社交場内)

(かなり豪華な人々の身形、と、内装)

ナポレオン「あの時は国から随分なお迎えがあったようだね。『北イタリアの城から城を王族気取りで渡り歩いた』なんて言われてるぞ」(社交場の中のジョゼフィーヌ)

(場所:屋内)

ジョゼフィーヌ「あら、当たり前じゃないかしら。女一人が国のために命を張って前線に出てゆくのよ」

(場所:荒野)

ナレーション「まあ、結局はフランス軍が圧勝するのですが」(戦争の様子、と、歓喜する兵たち)

ジョゼフィーヌ「そうよ。わたくしが着いたとたんにね。あの時はね。フランスじゅうが『“かの方”が祖国に勝利を運んだ』って持ちきりになったものよ」

⑦ジョゼフィーヌはナポレオンのエジプト出征中に無断でマルメゾン城を買った

引用wikipedia

(場所:屋内)

ナレーション「はあ、そうですか。では次ですが、エジプト戦役について」

ナポレオン「君、もうその辺でよしてくれないか」

ナレーション「いえ、仕事なんで、やらせていただきます」

ナポレオン「……」

(場所:マルメゾン城)

(マルメゾン城景)

ナレーション「あのー、ジョゼフィーヌさんですが、マルメゾン城を旦那さんの名義で買い取りましたよね。かなりの額で」

ジョゼフィーヌ「愛ある城は女の夢よ」

⑧ジョゼフィーヌはナポレオンと結婚したぐらいのころから不倫していた

(場所:庭)

ナレーション「ええ、確かに愛がありました。若いイッポリト・シャルルという将校としっぽりやっていたとかいう。あの方とはナポレオンさんと結婚したぐらいからの付き合いとかいう」(ジョゼフィーヌとイッポリト、腕をからませ歩いている)

ジョゼフィーヌ「ええ、そうよ」

⑨ジョゼフィーヌへの“愛の手紙”は敵軍イギリスにリークし、きっちり拡散された

(場所:屋内)

ナレーション「で…?」

ナポレオン「君、悪いことは言わない。もうよしてくれたまえ」

ジョゼフィーヌ「ええ、いいわ。もうとことんまで話そうじゃないの。あれね。バレちゃうのよ。この人に。でね」

(ナポレオン、自分の顔を両手で覆う)

ジョゼフィーヌ「書いちゃうのよね。いつもの手紙を。本国に。で、それが……」

ナレーション「それが?」

(場所:海上、と、街中)

ジョゼフィーヌ「ばれちゃうのよね。よりによって敵国イギリスに。手紙載せた船が拿捕されちゃうのよ。で、新聞とかにばらまかれるの」(海の上でイギリス軍旗が上がる船に横付けされ軍隊に拿捕される船、と、チラシを見て馬鹿笑いする人々)

(場所:屋内)

ナレーション「ナポレオンさん、それは思いっきり現代風にいう“拡散”と考えてよろしいでしょうか」

ナポレオン「もう好きなように解釈してくれたまえ」

⑩離婚後のナポレオンとジョゼフィーヌはとても固い絆だった

ナレーション「ええ。で、離婚してしまうのですよね」

ジョゼフィーヌ「……そうよ」

ナレーション「それまでは、あれだけさんざん何やられても許し、愛し続けていたのに」

ナポレオン「あたりまえだろ!…」

ナレーション「あなた、かなりのナルシストですよね」

(場所:イメージ)

ジョゼフィーヌ「(小笑)そうよ、じゃないとあんな肖像画いっぱい描かせるわけないじゃない」(ナポレオンの肖像画数枚)

(場所:イメージ)

ナポレオン「ジョゼフィーヌ、一応言わせてもらうが、君もだ」

ジョゼフィーヌ「あら!?」(ジョゼフィーヌの肖像画数枚)

(場所:屋内)

ナレーション「…あなた方はキャラが立ちすぎている…」

ナポレオン「余計なお世話だ。締め出すぞ」

ジョゼフィーヌ「やっておしまい」

(場所:屋外)

ナポレオンの声「もう用が済んだろ。とっとと失せろ」(屋内からバッグが投げ捨てられ、扉が強く閉められる)

ナレーション「…ナポレオンさん、これも仕事です。あきらめませんよ!」(手に持つメモ帳とペン)

ナポレオンの声「何様のつもりだ。二度と顔を出すな!」

ナレーション「この後、意外にもジョゼフィーヌはナポレオンへの愛に目覚めてゆきます。よく人は失った時にその大事さに気づくといいますが、全く皮肉なものです」

(場所:カフェ)

ナレーション「で、私、あきらめが悪かったもので、何とか伝手をたどり“彼女”と待ち合わせしたんですね」(カフェ前景、と、内部)

(場所:カフェ内)

(ジョゼフィーヌ、入ってくる)

ナレーション「お待ちしておりました。では、まず一杯どうぞ」

ジョゼフィーヌ「あら、ありがと」(ジョゼフィーヌの前に店員がコーヒー一杯を置く)

ナレーション「で、“その後”なんですが」

(場所:海浜)

ジョゼフィーヌ「ええ……。本当に皮肉なものよ。ほら、わたくし生まれが南国マルティニークでしょ。そして、思い出しちゃったのよね、きっと。あの人も生まれはコルシカ島。そもそも妙な因果があるのよ」

(場所:カフェ内)

ジョゼフィーヌ「で、わたくしは彼に捧げ続けたわ。まるで、今までのものを取り戻そうとするみたいに。ええ、そして、彼は失うのよね。連戦連敗。あれだけ世界に無敵と恐れられたのにね。すると、本当に。世間ってのはむなしいものよ。あれだけちやほや持ち上げていたものをあっという間に手のひら返し。みんなでね。わたくしたちの時代のフランスではね。こういうことが日常茶飯事だったの」

ナレーション「ええ、革命以来の激動が続いておりましたからね……」

ジョゼフィーヌ「(笑)まあでもそれはみんないいっこなし。でね、あの人はエルバ島に流されるでしょ。ダメね。女はああいうのに弱いのよ。わたくしは彼に捧げつくそうと……本当に皮肉なものよ。笑いなさい」

(場所:海浜)

ジョゼフィーヌ「もうわたくしの最後は知ってるわよね。肺炎になってね。息絶えるの。あの人が復権することを見ずして。でね、もういいのよ。復権できたあの人を見届けられたかどうかなんて。だって人間そういうものでしょ。世間みんなに裏切られ孤独にあえいでいたあの人と、復権しようとするあの人と、ともにいれたの。味わい深いものよ。そう、わたくしは最後まで追い求めていたの。広く青い海の音と燦燦とした太陽の香り……」(少女ジョゼフィーヌが立っている)

ジョゼフィーヌ「ジュテーム(私はあの人を愛してる)」

ナレーション「ジョゼフィーヌの最期の言葉は『ボナパルト・ローマ王(皇帝)・エルバ島』。彼女は今フランスで『Mr.sフランス』と言ってよい圧倒的な国民の人気を勝ち得ています」

P.S.

ジョゼフィーヌ「ああもちろん、高い年金も、王族の着るような純白シルクの素敵なドレスも、国一つ買える宝石をちりばめられた冠も、いっぱいのバラで彩られたお城もなくちゃダメだからね。あったり前じゃない!」

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